はじめに
デジタルマーケティングの世界では、適切なキーワード選定が広告の成功を左右します。Google Ads APIを使用することで、キーワードプランナーのデータを効率的に取得し、効果的なキーワード戦略を立てることができます。本記事では、Google Ads APIを使ってキーワードプランナーのデータを取得する手順を詳しく解説します。
※注意: 本記事ではGoogle Ads API v15を使用しています。最新のAPIバージョンについては、公式ドキュメントをご参照ください。
Google Ads APIとは?
Google Ads APIは、Googleの広告キャンペーンをプログラムで管理するためのツールです。これにより、広告主はより効率的にキャンペーンを運営できます。Google Ads APIを利用することで、広告のパフォーマンスデータの取得、広告の管理、そしてキーワードプランナーのデータ取得などが可能です。
参考:「Google Ads API Overview」- Google Developers, https://developers.google.com/google-ads/api/docs/overview
キーワードプランナーの重要性
キーワードプランナーは、適切なキーワードを見つけ、その検索ボリュームや競合性を分析するためのツールです。これにより、マーケターは効果的なキーワード戦略を立てることができます。キーワードプランナーを利用することで、ターゲットオーディエンスの検索意図を理解し、広告の精度を高めることができます。
参考:「キーワード プランナーの利用方法」- Google広告ヘルプ, https://support.google.com/google-ads/answer/7337243?hl=ja
Google Ads APIの準備
Google Ads APIを利用するためには、以下の準備が必要です。
Google Adsアカウントの作成
Google Ads APIを利用するためには、まずGoogle Adsアカウントを作成し、APIを利用するための設定を行う必要があります。以下の手順に従って、Google Adsアカウントの作成およびAPI設定を行います。
- Google Adsアカウントの作成
- Google Adsアカウントのダッシュボードにアクセスできるようになります。
- Google Adsサイトにアクセス
- Google Adsサイトにアクセスします。
- 「今すぐ開始」をクリックして、Googleアカウントでログインします。
- 基本情報の入力
- Google Adsアカウントを作成するために、ビジネス情報や広告の目的などの基本情報を入力します。
- 広告の設定をスキップして、アカウント作成を完了させることもできます。
- アカウント作成の完了
- すべての必要な情報を入力したら、「送信」ボタンをクリックしてアカウント作成を完了します。
APIアクセスの申請と設定方法
Google Ads APIの利用には、Google Cloud Consoleでのプロジェクト作成、APIの有効化、開発者トークンの取得、OAuth認証の設定が必要です。以下の具体的な手順を説明します。
Google Cloud Consoleでのプロジェクト作成
- Google Cloud Consoleにアクセスし、Googleアカウントでログインします。
- 新しいプロジェクトを作成します。「プロジェクトの作成」ボタンをクリックし、プロジェクト名を入力します。
- 作成したプロジェクトを選択し、左側のメニューから「APIとサービス」をクリックし、「ライブラリ」を選択します。
- 検索バーに「Google Ads API」と入力し、「Google Ads API」を選択して有効化します。
開発者トークンの取得
- Google Adsアカウントにログインし、右上のツールアイコンをクリックして「APIセンター」を選択します。
- 「開発者トークンを取得する」ボタンをクリックし、必要な情報を入力して申請します。
- 申請が承認されると、開発者トークンが発行されます。このトークンは、APIリクエストを行う際に使用します。
OAuth認証の設定
- Google Cloud Consoleに戻り、左側のメニューから「APIとサービス」 > 「認証情報」を選択します。
- 「認証情報を作成」ボタンをクリックし、「OAuth 2.0 クライアントID」を選択します。
- 同意画面を設定するために「同意画面の構成」をクリックし、必要な情報を入力します。
- 同意画面の設定が完了したら、「OAuth 2.0 クライアントID」を作成します。アプリケーションの種類として「ウェブアプリケーション」を選択し、必要なリダイレクトURIを設定します。
- 作成されたクライアントIDとクライアントシークレットを記録しておきます。この情報は、APIリクエストを認証するために使用します。
参考:「Google Cloud Platform の設定手順」- Google Cloud, https://cloud.google.com/docs/overview
キーワードプランナーデータの取得
キーワードプランナーのデータを取得するためにキャンペーンの作成は不要です。キーワードプランナーの特定のエンドポイントを使用してデータを取得します。
キーワードプランナーから検索ボリュームやCPCのデータを取得
Google Ads APIを使用して、キーワードプランナーから検索ボリュームやCPCのデータを取得する具体的な手順を解説します。まず、キーワードのリストを作成し、それを使ってAPIリクエストを行います。
- キーワードリストの準備
- 取得したいキーワードのリストを作成します。このリストは、CSVファイルやデータベースなどに保存しておくと便利です。
- APIリクエストの構築
- Google Ads APIを使ってキーワードプランナーからデータを取得するためのリクエストを構築します。このリクエストには、取得したいキーワードや取得したいデータの種類(検索ボリューム、CPC、競合性など)を指定します。
- データ取得の手順 構
- 築したリクエストをGoogle Ads APIに送信し、必要なデータを取得します。取得したデータは、JSON形式で返されるため、適切な方法で解析します。
参考:「キーワード プランナーの使い方」- Google広告ヘルプ, https://support.google.com/google-ads/answer/7337243?hl=ja
Pythonを使ったGoogle Ads APIの実行
Google Ads APIをPythonで実行するための準備と手順を解説します。
必要なPythonライブラリのインストール
Google Ads APIクライアントライブラリとgoogle-authライブラリをインストールします。以下のコマンドを使用してライブラリをインストールします。
pip install google-ads
pip install google-auth
APIリクエストの構築
Google Ads APIを使用してキーワードプランナーのデータを取得するためのリクエストを構築します。以下の例は、Pythonを使用してキーワードプランナーのデータを取得する方法です。
from google.ads.google_ads.client import GoogleAdsClient
from google.ads.google_ads.errors import GoogleAdsException
client = GoogleAdsClient.load_from_storage()
def get_keyword_ideas(client, customer_id, keyword_texts):
keyword_plan_idea_service = client.get_service("KeywordPlanIdeaService", version="v15")
location_ids = [...] # 例: [2840] (アメリカ合衆国)
language_id = 1000 # 英語
request = client.get_type("GenerateKeywordIdeasRequest", version="v15")
request.customer_id = customer_id
request.language = client.get_service("GoogleAdsService").language_constant_path(language_id)
request.geo_target_constants = [client.get_service("GoogleAdsService").geo_target_constant_path(location_id) for location_id in location_ids]
request.keyword_plan_network = client.enums.KeywordPlanNetworkEnum.GOOGLE_SEARCH_AND_PARTNERS
request.keyword_seed.keywords.extend(keyword_texts)
try:
response = keyword_plan_idea_service.generate_keyword_ideas(request=request)
for result in response.results:
print(f'Keyword: {result.text}, Avg. Monthly Searches: {result.keyword_idea_metrics.avg_monthly_searches}, Competition: {result.keyword_idea_metrics.competition}')
except GoogleAdsException as ex:
print(f"Request failed with status {ex.error.code().name}: {ex.error.message}")
# キーワードリストの例
keywords = ["example keyword 1", "example keyword 2"]
get_keyword_ideas(client, "", keywords)
このコードスニペットは、GenerateKeywordIdeasRequest
を使用してキーワードプランナーのデータを取得する方法を示しています。必要なパラメータを設定し、APIリクエストを送信してデータを取得します。
ーーー引用元が使われた文章ーーー
参考:「Keyword Plan Idea Service」- Google Ads API, https://developers.google.com/google-ads/api/reference/rpc/v15/KeywordPlanIdeaService
キーワードプランナーデータを使った検索ボリュームの取得
キーワードプランナーのデータを取得するためにキャンペーンの作成は不要です。キーワードプランナーの特定のエンドポイントを使用してデータを取得します。以下では、APIリクエストの詳細な構築方法を説明します。
APIリクエストの構築
Google Ads APIを使用してキーワードプランナーのデータを取得するためのリクエストを構築します。具体的には、『KeywordPlanIdeaService』というエンドポイントを利用して、キーワードの検索ボリュームやCPC、競合性などのデータを取得します。
キーワードリストの準備
取得したいキーワードのリストを作成します。このリストは、CSVファイルやデータベースなどに保存しておくと便利です。
Pythonを使用したリクエストの構築方法
Google Ads APIを使用してキーワードプランナーのデータを取得するためのリクエストを構築します。以下の例は、Pythonを使用したリクエストの構築方法です。
from google.ads.google_ads.client import GoogleAdsClient
from google.ads.google_ads.errors import GoogleAdsException
client = GoogleAdsClient.load_from_storage()
def get_keyword_ideas(client, customer_id, keyword_texts):
keyword_plan_idea_service = client.get_service("KeywordPlanIdeaService", version="v15")
location_ids = [...] # 例: [2840] (アメリカ合衆国)
language_id = 1000 # 英語
request = client.get_type("GenerateKeywordIdeasRequest", version="v15")
request.customer_id = customer_id
request.language = client.get_service("GoogleAdsService").language_constant_path(language_id)
request.geo_target_constants = [client.get_service("GoogleAdsService").geo_target_constant_path(location_id) for location_id in location_ids]
request.keyword_plan_network = client.enums.KeywordPlanNetworkEnum.GOOGLE_SEARCH_AND_PARTNERS
request.keyword_seed.keywords.extend(keyword_texts)
try:
response = keyword_plan_idea_service.generate_keyword_ideas(request=request)
for result in response.results:
print(f'Keyword: {result.text}, Avg. Monthly Searches: {result.keyword_idea_metrics.avg_monthly_searches}, Competition: {result.keyword_idea_metrics.competition}')
except GoogleAdsException as ex:
print(f"Request failed with status {ex.error.code().name}: {ex.error.message}")
# キーワードリストの例
keywords = ["example keyword 1", "example keyword 2"]
get_keyword_ideas(client, "", keywords)
このコードスニペットは、GenerateKeywordIdeasRequest
を使用してキーワードプランナーのデータを取得する方法を示しています。必要なパラメータを設定し、APIリクエストを送信してデータを取得します。
参考:「Keyword Plan Idea Service」- Google Ads API, https://developers.google.com/google-ads/api/reference/rpc/v15/KeywordPlanIdeaService
取得データの解析と表示
取得したキーワードプランナーデータを解析し、検索ボリューム、CPC、競合性の確認方法について説明します。また、データの可視化とレポート作成についても解説します。
検索ボリューム、CPC、競合性の確認方法
取得したデータは、検索ボリューム(Search Volume)、クリック単価(CPC)、および競合性(Competition)などの重要な指標を含みます。これらの指標を分析することで、広告キャンペーンの効果を高めるための戦略を立てることができます。
def analyze_keyword_data(data):
for row in data:
keyword = row['keyword']
avg_cpc = row['metrics']['average_cpc']
search_volume = row['metrics']['search_volume']
competition = row['metrics']['competition']
print(f"Keyword: {keyword}, Average CPC: {avg_cpc}, Search Volume: {search_volume}, Competition: {competition}")
上記のコードでは、取得したデータをループして各キーワードの指標を出力しています。このようにしてデータを確認し、広告戦略に役立てることができます。
データの可視化とレポート作成
取得したデータをより理解しやすくするために、可視化ツールを使用してデータをグラフやチャートに変換します。Pythonでは、MatplotlibやSeabornなどのライブラリを使用してデータを可視化できます。
import matplotlib.pyplot as plt
def visualize_keyword_data(data):
keywords = [row['keyword'] for row in data]
search_volumes = [row['metrics']['search_volume'] for row in data]
avg_cpcs = [row['metrics']['average_cpc'] for row in data]
fig, ax1 = plt.subplots()
ax1.set_xlabel('Keywords')
ax1.set_ylabel('Search Volume', color='tab:blue')
ax1.bar(keywords, search_volumes, color='tab:blue')
ax1.tick_params(axis='y', labelcolor='tab:blue')
ax2 = ax1.twinx()
ax2.set_ylabel('Average CPC', color='tab:red')
ax2.plot(keywords, avg_cpcs, color='tab:red')
ax2.tick_params(axis='y', labelcolor='tab:red')
fig.tight_layout()
plt.show()
このコードスニペットでは、キーワードごとの検索ボリュームと平均CPCをバーグラフと折れ線グラフで表示しています。このような可視化により、データの傾向を一目で把握することができます。
参考:「Matplotlib: Visualization with Python」- Matplotlib, https://matplotlib.org/stable/index.html
Google Ads API利用時の注意点
Google Ads APIを利用する際には、いくつかの注意点があります。これらを遵守することで、APIを効果的に利用することができます。
APIクオータと利用制限
Google Ads APIには、APIリクエストの回数やデータの取得量に制限があります。これらの制限を超えた場合、追加の料金が発生することがあります。また、利用制限を超えないようにするための対策も必要です。
def check_api_quota(client):
# APIクオータの確認方法を示すサンプルコード
# クライアントオブジェクトを使ってクオータを確認する
response = client.get_service('CustomerService').get_customer(
resource_name='customers/'
)
print(f"APIクオータ: {response.resource_name.quota_metrics}")
データのプライバシーとセキュリティ
APIを利用する際には、ユーザーデータのプライバシーとセキュリティに十分注意する必要があります。特に、OAuth認証を使用する場合は、認証トークンの管理と安全な保管が重要です。
参考:「APIクオータの管理」- Google Cloud, https://cloud.google.com/docs/quota
まとめ
Google Ads APIを使用してキーワードプランナーデータを取得することで、広告運用をより効率的かつ効果的に行うことができます。本記事では、Google Ads APIの基本的な情報から、実際のデータ取得手順、データの解析方法、そしてAPI利用時の注意点までを詳しく解説しました。
Google Ads APIを使ったキーワードプランナーデータ取得の利点
Google Ads APIを活用することで、手動では困難な大量のデータを効率よく取得し、分析することが可能です。以下に、Google Ads APIを使ったキーワードプランナーデータ取得の利点をまとめます。
- 効率的なデータ取得:APIを利用することで、大量のキーワードデータを迅速に取得できます。これにより、時間と労力を大幅に削減できます。
- 詳細なデータ分析:検索ボリューム、CPC、競合性などの詳細なデータを取得し、精度の高いキーワード戦略を立てることができます。
- 自動化による作業効率化:Pythonなどのプログラミング言語を使用してAPIリクエストを自動化することで、手動作業を減らし、効率的なデータ分析が可能です。
- データの一元管理:APIを利用することで、異なるデータソースからの情報を一元管理し、統合的なデータ分析を行うことができます。
今後の広告運用への応用
Google Ads APIを使用して取得したキーワードプランナーデータは、今後の広告運用においてさまざまな形で活用できます。具体的には、以下のような応用が考えられます。
- ターゲティング精度の向上:取得したキーワードデータをもとに、ターゲットオーディエンスの検索行動を分析し、広告ターゲティングの精度を高めることができます。
- 競合分析の強化:競合性の高いキーワードを特定し、競合他社の広告戦略を分析することで、自社の広告戦略を改善できます。
- 費用対効果の最適化:CPCデータを活用して、広告費用の最適化を図り、広告の費用対効果を最大化できます。
- 継続的なパフォーマンスモニタリング:APIを利用して定期的にデータを取得し、広告キャンペーンのパフォーマンスを継続的にモニタリングすることで、リアルタイムでの最適化が可能になります。
Google Ads APIの利用には一定の技術的な知識が必要ですが、その利点を活用することで、広告運用の効果を飛躍的に向上させることができます。今回の記事を参考に、ぜひGoogle Ads APIを活用した広告運用を実践してみてください。